
当方では、横変位拘束構造の設計を行っております。構造形式は、鉄筋コンクリート(RC)造および鋼製構造のいずれの場合も、アンカーボルトを既設下部工に打設するため、橋軸直角方向における支承縁端距離 S の確保が不可欠となります。
私の認識では、支承縁端距離 S は、橋座面の側面端部から最も近いアンカーボルトを基準に確保すべきと考えております。
しかし、発注者からは「既設橋梁の耐震補強工法事例集(平成17年4月 海洋架橋・橋梁調査会)」の図3.2.10(落橋防止壁の配筋)において、引張側鉄筋から支承縁端距離を確保する設計例が示されているため、今回の横変位拘束構造においても同様の考え方が適用可能ではないかとのご意見をいただいております。
海洋架橋の設計例は正しいのでしょうか。
初歩的な質問で恐縮ですが、ご意見をいただけますと幸いです。
コメント
#10075 Re: 「既設橋梁の耐震補強工法事例集 平成17年4月」における支承縁端距離について
これには明確な正解がないんですよね。
まず「Sの確保が不可欠となります」という思い込みを排除した方がいいです。
海洋架橋の本もⅡ-258ページに「できるだけ支承縁端距離S以上とすることが望ましい」とあるように
そもそも支承じゃないものにSの確保が必要なのかという話もあります。
推測ですが海洋架橋の本は補強の場合に圧縮側の鉄筋でSを確保するのは現実的ではないから妥協案という意味で記載していると思われます。
全てのルールに準拠すると必要な対策はできないことが多いです。
例えば新設RC構造の場合、パラペットと同じような配筋にすることで橋台側面に合わせて壁を設置することはよくありますよね。
道路協会はこういう時のスタンスとして「発注者と協議して決めるべき」ということが多いので
発注者と決めればいいんじゃないでしょうか。
個人的にはアンカーにせん断力が卓越する構造の場合にSを確保するものと考えますので、
曲げ引張が卓越する横変位拘束構造には適用しなくていいと思っています。
それよりも主筋の定着の方に気を使うべきかと。
#10076 Re: 「既設橋梁の耐震補強工法事例集 平成17年4月」における支承縁端距離について
貴重なご意見を賜り、誠にありがとうございます。
「Sの確保が不可欠となります」という前提にとらわれず、柔軟な視点で検討すべきとのご指摘、大変参考になりました。
今一度、発注者と協議を行いたいと思います。